研究ユニット長よりご挨拶

オプティクス・フォトニクス創発センター ユニット長の田邉孝純です。

慶應義塾大学大学院理工学研究科は、歴史的にフォトニクスやレーザー工学の分野で強い伝統を持ち、国内外に多くの研究成果を発信してきました。本センターはその基盤をさらに発展させ、13名の研究者が集い、分野横断的な連携を通じて光科学・光工学の新たな地平を切り拓くことを目指しています。

副ユニット長の藤井助教をはじめ、若手研究者の力も加わり、基礎から応用に至るまで、ナノフォトニクス、光通信、量子光学、医療応用など多岐にわたるテーマに挑戦しています。加えて、本学科には大型プロジェクトを獲得・推進している教授も多く、先端研究を進めるための実績と体制を備えています。

当センターでは、博士課程学生が積極的に研究に取り組めるよう、教育支援にとどまらず、研究のコアとなるアイディアをすり合わせながら企業・研究機関と共同研究を進めることを重視しています。また、学生が海外で活躍する機会をさらに広げるために、国際学会や研究交流における旅費支援にも力を入れていきたいと考えています。

さらに、毎年開催している学生を主体とした、密度の高いポスター発表会には、企業の皆さまにもぜひご参加いただきたいと考えています。若手研究者との交流を通じて、将来の採用のきっかけや製品・技術の紹介の場として活用いただけると幸いです。

光の研究は、通信や情報処理から医療・ライフサイエンス応用に至るまで極めて広範です。本センターは今後も、基礎から応用までをつなぐ研究と学会活動を推進し、産学連携を通じて社会に貢献してまいります。

オプティクス・フォトニクス創発センターの活動に、引き続きご関心とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

研究ユニットの活動

慶應光関連研究室交流会

慶應義塾大学大学院理工学研究科では、光・レーザ・フォトニクス分野の研究を推進する研究室が集まり、「慶應光関連研究室交流会」を毎年開催してきました。本交流会は10年以上の歴史を持ち、学科の枠を越えて学生と教員が研究を共有し、分野横断的な交流を深める場として発展してきました。

当日は、参加研究室を巡るラボツアーに始まり、学生によるポスター発表を中心に活発な議論が交わされます。特にポスターセッションは、異なる研究室の学生同士が直接意見を交わす濃密な場であり、新たな着想や研究の広がりを生むきっかけとなっています。セッションは交流会も兼ねており、軽食を囲みながら学生・教員が一堂に会し、自由闊達な意見交換が行われます。

今年からは研究ユニット(創発センター)の公式行事として位置づけ、企業の皆さまにも有料でご参加いただけるようにいたします。博士課程学生や若手研究者との交流を通じて将来の採用や共同研究に発展させていただけるだけでなく、自社の技術や製品を研究者と直接議論しながら紹介できる貴重な機会となります。通常の展示会にはない、物理的にも心理的にも近い距離感でのディスカッションを通じて、新たな連携の可能性が広がるはずです。

光科学・光工学は、通信から医療、情報処理、ライフサイエンスに至るまで多彩な応用を持つ分野です。本交流会を通じて、学生の成長と研究交流を支援するとともに、産学が一体となってオプティクス・フォトニクス分野の未来を切り拓いてまいります。

後期博士課程・修士課程学生への国際会議渡航支援

オプティクス・フォトニクス創発センターでは、今後、後期博士課程および修士課程の学生が国際学会や国際会議に参加できるようにするための渡航支援制度を立ち上げる計画を進めています。国際会議は、世界最先端の研究に触れ、研究成果を発表し、国際的なネットワークを築く絶好の機会であり、若手研究者の成長と将来の研究リーダー育成に直結します。

本支援の原資には、産業界からのご寄付を充てることを想定しています。ご協力いただいた企業の皆さまには、渡航した学生による帰国報告書をお届けし、その成果を共有させていただくことを考えています。また、支援を受けた学生にはご協力いただいた企業名をお伝えし、直接的なつながりを意識できるようにいたします。

国際会議に参加する学生は、学術的に優秀で将来研究者として活躍する可能性が高く、企業にとっては将来の潜在的な顧客であり、同時に人材発掘の対象にもなり得ます。渡航支援を通じて学生の挑戦を支えることは、社会的な意義だけでなく、企業にとっても将来への投資となります。

本センターは、産学が協力して若手研究者の国際的な成長を支援する仕組みを築き、慶應義塾大学大学院理工学研究科におけるフォトニクス研究のさらなる発展を目指してまいります。